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Fabが身近なまち鎌倉~市民のための工房「FabLab」で生み出されるDIYの精神~

こんにちは。政策創造課スマートシティ担当の松村です。

前回の記事では、自らの手で楽しみながらものづくりをする「Fabファブ」という考え方について紹介しました。

今回の記事では、鎌倉市の「Fabファブ」について紹介していきたいと思います。


国内で唯一?FabCity宣言!

早速ですが、鎌倉市は今から6年前の2018年にフランスのパリにて開催された「Fab City Summitファブシティサミット」において、FabCityファブシティ宣言を行いました。

FabCityファブシティ宣言?何それ!って思いますよね。

簡単に説明をするとFabCityファブシティ宣言とは、テクノロジーを活用した創造的なモノづくりの体験を通じて、身の周りの様々な課題に対し自分自身や地域の方と協力して改善していく姿勢を培うことで、世界に誇れる持続可能なまちを目指していくグローバルなプロジェクトです。

このプロジェクトは、2014年にスペインのバルセロナで開催されたFabLabファブラボ国際会議からカウントダウンを開始し、2054年までの40年間の期間をかけて都市におけるあらゆる生産を地元で生み出し循環させていく都市システムを目指しています。

FabCity宣言の様子(フランスのパリにて開催されたFab City Summitにて)

少し難しいですが、鎌倉市のFabCityファブシティ宣言は、モノづくりを「体験」だけで終わらせず、身の周りの課題を改善していく「姿勢」まで培っていくことを大切にしています。

このFabCityファブシティ宣言、現在も国内で宣言を行っているところは他になく、鎌倉市は日本で唯一宣言を行っている自治体なんです。

そして、FabCityファブシティ宣言と切っても切れないものとして、「FabLabファブラボ」と呼ばれる施設があります。FabCityファブシティ宣言を行っている都市には必ずこのFabLabファブラボが存在していて、鎌倉にもあります。

国内初のFabLabはここ鎌倉に

市役所の近くに立派な造りをした「蔵」のような建物があるんですが、気になったことがある方はいらっしゃいますか?

FabLab鎌倉が入居する築136年の「結の蔵」

実はこれがFabLabファブラボ鎌倉なんです。建物は気になったことはあるけど、中に何が入っているかは知らなかった、という方も多いのではないでしょうか。

市役所から徒歩5分程の扇ガ谷おうぎがやつという場所に、FabCityファブシティ宣言を行う前の2011年に日本で初めのFabLabファブラボとして設立されました。鎌倉駅からも近く、アクセスしやすい場所にあります。

この「FabLabファブラボ」と呼ばれる施設は、世界の約120カ国、2,000箇所以上に存在していて、世界中にネットワークがあるんです。

どのFabLabファブラボも共通して、3Dプリンターや、3Dスキャナー、レーザーカッターなどのデジタル工作機械を備えており、市民の方がアイデアを自由に形にできるモノづくりの実験室のような役割を果たしています。

FabLab Barcelona(バルセロナ/スペイン)
「画像出展:FabLab Barcelona」
FabLab Amsterdam(アムステルダム/オランダ)
「画像出展:FabLab Amsterdam」

しかし写真のバルセロナや、アムステルダムのFabLabファブラボを見ても分かるように、その規模や設備、運営方法などは施設によって様々なんです。

現在、国内にも約20箇所のFabLabファブラボが存在していますが、市民のための地域工房であるFabLabファブラボ鎌倉ならではの取組としては、月曜日の午前中に実施しているOPEN LABオープンラボがあります。

OPEN LABオープンラボとは、その名のとおり、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械を使った新しいモノづくりを、より多くの皆さんに体験してもらうことを目指しており、事前に予約をすれば誰でも参加することができます。

誰でも参加できますが、1つ条件があります。それは、FabLabファブラボ鎌倉が入居する築136年の「結の蔵」のほうき掛けや雑巾掛けなど、メンテナンスのための掃除を一緒に行ってもらうことです。面白い条件ですよね。

OPEN LABの様子
「画像出展:FabLab Kamakura」

地域の方に開かれた施設を、地域の人が協力して一緒に維持・運営していく、まさに地域密着型の施設だなと感じます。鎌倉市は、施設と地域の人が協力しながら一緒に活動する、このコミュニティこそ、FabLabファブラボ鎌倉の特徴であり、強みだと考えています。

モノづくりでDIY精神「できるかも」を生み出す

そんな市民のための地域工房「FabLabファブラボ鎌倉」ですが、地域密着型の施設として、モノづくりを通じた身の周りの「悩みごと」や「困りごと」の改善に取り組んでいます。

FabLabファブラボ鎌倉では、生活の中に「こういった物があったらな」と感じたものを施設や地域の方と一緒に考えながら、デジタル工作機械を使用してアイデアを形にしていくことができます。つまり、気軽にモノづくりの体験を得ることができます。

気軽にアイデアを形にできるだけで十分すごいことですが、モノづくりに取り組む中で、実現させる創造性や、改善していく柔軟性を同時に培えることもできるんです。デジタル工作機械を使用すれば、あれも形にできるのではないか、といった風にコトづくりの意識が芽生えてきます。

すると、これまで実現や改善することが難しかった事に対して、少しずつ「できるかも」という考えを持てるようになっていきます。この「できるかも」という考えは、「Do It Yourself/自分でやってみる」の精神と少し似ていると思っています。

「モノづくり」から「DIYの精神」が生まれるまで

少子高齢化や地球温暖化などにより「持続可能性」や「エコ意識」が注目される中で、このDIYの精神をもとに、自分でモノを修理したり、自分で暮らしをより良くするために動いていくことは非常に大切なんです。

このモノづくりを通じたDIYの精神をより多くの方に感じてもらうため、鎌倉市はFabLabファブラボ鎌倉と協力しながら様々なイベントを実施しているんです。
詳しくは、また記事で紹介していきたいと思います。是非ご覧ください。