おウチの前でごみ出し、どうなの?「ごみの戸別収集」を経験した市民の声は?
現在、鎌倉市が検討しているごみの『戸別収集』。
前回の記事では戸別収集のメリットやデメリットについて、説明をしました。
担当課長、ごみの戸別収集を経験した市民に聞く
さて、実際のところはどうなのでしょうか?
今回は戸別収集の担当をしている中澤課長が2012~2016年に鎌倉市の一部地域で実施したモデル事業として戸別収集に取り組んだ、七里ガ浜町内会の井上伸一さんと荒井純子さんのもとを訪問した様子を対談形式でお届けします!
――今日はよろしくお願いします。まずはじめにいきなり直球の質問をさせてください。戸別収集は○ or ×?
2人の答えは「○」。
「賛成です。むしろモデル事業から継続して行ってほしかったですね」(井上さん)
「ごみ出しがとにかく楽!家の敷地内に出すだけなので、20m離れたクリーンステーションに比べて断然近くなりました。」(荒井さん)
――なるほど。でも、気軽になった分、分別が甘くなってしまうということはなかったですか?
「誰が出したごみかわかってしまうので、各々ごみ出しに責任感が生まれました。しっかりと分別されずに出されたごみだと、ラベル(※)が貼られてしまいますから」(井上さん)
※収集しない理由が記載されているシールのこと
――確かに、戸別収集ではごみを出した人がすぐに分かってしまうだけに、「適当さ」はなくなるのかもしれませんね。
「ごみがカラスに荒らされることもあり、クリーンステーションだとそれを清掃する住民は負担になります。でも、戸別収集なら自分の敷地内にごみを散乱させたくないので、それぞれボックスに入れるなど対策をしていました」(荒井さん)
――戸別収集は気軽な反面、クリーンステーション以上にごみ出しの責任が伴います。だからこそ、ごみの削減やマナーの徹底にもつながるのですね。
「クリーンステーションでなにか問題が起きた時でも、町内会員には情報を共有できますが、非会員には伝達しきれません。でも、戸別収集なら会員・非会員関係なく、平等に各自で責任を負うことになります」(井上さん)
――戸別収集を行う上で、何か他に気になった点はありましたか。
「ごくわずかですが、収集作業員が門の中へ入って来るのが心配という声もありました。そういう人は、回収の時間帯だけ門を開けておくようにしていたそうです。」(荒井さん)
――クリーンステーションが無くなることによって、地域コミュニティの縮小を懸念する声もありましたが、どのように思われますか。
「クリーンステーションじゃなくても、井戸端会議はどこでもやっています(笑)それよりも、雨の日に高齢者が傘をさして坂の先にあるクリーンステーションへ行く必要がなくなる方がいいです。」(荒井さん)
――本日はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございました。
対談の中では、そのほか「戸別収集ならノーメイクでもOKだった」「路上にカラス除けネットボックスがなくなり景観が良くなった」といった感想も聞かれました。
戸別収集はそれぞれのタイミングで敷地内にごみを出せるので、ライフスタイルの多様性に対応しやすいと言われています。天候、年齢による体力の変化にも対応できそうですね。
今ある「暮らしの当たり前」をアップデートしていくことによって、鎌倉市は今後も「未来を見すえた持続可能なごみの戸別収集」を検討していきます。
次回の記事ではすでに戸別収集を行っている自治体職員の方に話を伺います。お楽しみに!