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「容器包装プラスチック」分別して出した後、どうなるの?

市民ライターの田辺です。

以前の記事で、鎌倉市のごみ分別数が多いことを紹介しました。「分別して出したけど、どのようにリサイクルされているのかな」と気になりませんか?

今回のそらうみまちきれいでは、実際に私たちが分別した「容器包装プラスチック」が集められた後にどうなるのか、その行方を追ってみましたので、その内容をレポートします。
現場では、たいへんなことが起きていたのです!

製品に生まれ変わる前に必要な「中間処理」

株式会社テクノ・トランス。到着した時も次々とパッカー車がごみを積んで入っていました。

鎌倉市では各地区で週に一度「容器包装プラスチック」を収集しています。それらはすべて鎌倉市内にある株式会社テクノ・トランスへ集められるということで、見学させてもらいました。

テクノ・トランスでは鎌倉市の委託により集められた「容器包装プラスチック」の中間処理を行っています。

中間処理とは、「容器包装プラスチック」の中身を選別、圧縮梱包すること。さまざまな製品、原料にリサイクルする前段階の工程のことです。

テクノ・トランスでの具体的な作業内容は次のような流れになっています。

計量・受入
各クリーンステーション(ごみ集積所)から集められた「容器包装プラスチック」を計量して受入

破袋はたい磁選じせん
選別する前にごみ袋を機械で破き、磁力で鉄類を除去

手選別
機械で破けなかった袋を人力で破きながら異物を選別・除去

圧縮梱包
約10分の1の大きさに圧縮して梱包

出荷
リサイクル工場へ出荷

ごみ袋を二重・三重にしないで!

テクノ・トランスの担当者に施設内を案内していただきました。

集められた「容器包装プラスチック」は、破袋はたい機・磁選じせん機にかけられます。ここで、ごみ袋を破いて中身を出し、磁力により鉄類が取り除かれます。

受入ピット。市内の各クリーンステーションから「容器包装プラスチック」が集まってきます。

担当者「各部屋で集めた小さい袋を大きな袋に入れて出すことはありませんか? 機械では、中の小さい袋までは破くことができないので、1つ1つ人力で破いています。容器包装プラスチックは、袋を二重・三重にせず、外袋1枚で出してください」

手作業で選別を行っています。

ベルトコンベアで「容器包装プラスチック」が流れてきて、機械で破けなかった袋を破きながら、手作業で選別作業が行われます。

品質基準を満たすには人の手による選別が欠かせません。


ごみ袋の中から包丁やライターが!?

担当者「袋の中からは危険物がいろいろと出てきます。例えば、包丁やナイフ、ライター、スプレー缶、家庭から出る点滴バッグといった医療廃棄物など。過去に釣り糸が混入していて、選別していたスタッフがからまって釣り針でケガをしました。当たり前のことですが、容器包装プラスチック以外のものは入れないでください」

「容器包装プラスチック」しか入っていないはずなのに、包丁が出てくるなんてビックリ! 近年の包丁はステンレス製なので磁選機の磁力では取り除けず、人が選別するしかないそうです。

袋の中から出てきたもの。こんなに色々なものが混入しているのですね。

たばこの吸い殻や生ごみなど明らかに「容器包装プラスチック」とは違うものも。汚れてしまうとリサイクルできなくなってしまいますし、電池やバッテリーは発火の危険があるので絶対に入れないでくださいね!

「容器包装プラスチック」以外のものがたくさん。

中には「製品プラスチック」「ペットボトル」「ビン・缶」「紙」なども。分別を間違いやすい「製品プラスチック」や「ペットボトル」は「容器包装プラスチック」ではなく、別に収集され、リサイクルされています。

有料袋に入れて出されたごみなど

また、「容器包装プラスチック」は、鎌倉市の有料袋(指定収集袋)に入れないで透明のビニール袋に入れてください。有料袋は「容器包装」ではないのでリサイクル対象外となります。

「プラマーク」がついているか確認を

「容器包装プラスチック」とは、商品が入っていたプラスチック製の容器や包装のこと。判断する基準のひとつは、プラマークがついているかどうかです。

プラマーク

プラマークがついていても、ひどく汚れているものは「燃やすごみ」として出してください。

汚れがひどいまま袋に入れてしまうと、周りにも汚れが付着して、せっかく分別してもリサイクルできなくなってしまいます。面倒でも汚れを拭き取ったり、すすいだりして、できるだけきれいにしてから出しましょう。

リサイクルできるよう、しっかりと分別を

現場を見て驚いたのは、その量の多さ! 施設見学中も収集車が大量の「容器包装プラスチック」を運んできます。

どんどん運び込まれています。
圧縮梱包された容器包装プラスチック

圧縮梱包した容器包装プラスチックは1日数十個になり、毎日リサイクル工場に送られます。

圧縮梱包された容器包装プラスチックを運ぶ様子

リサイクル工場では、異物を取り除いた容器包装プラスチックを利用して、工場で使うパレットや公園のベンチや遊具などのプラスチック製品を製造するほか、アクリル繊維やナイロン繊維の原料、窒素系肥料、虫さされ薬の原料となる液化アンモニアといった、さまざまな製品に生まれ変わります。

このリサイクル処理にかかる費用は、容器包装プラスチックを使った製品を販売するメーカーなど容器包装を利用・製造・輸入している特定事業者が、日本容器包装リサイクル協会を通して負担しているそうですよ。

とはいえ、毎日毎日こんなに大量の「容器包装プラスチック」が集められているとは……。日々の暮らしの中で「容器包装プラスチック」を正しく分別することはもちろん、マイバッグを使う、詰め替えを使うなど、身近なことから減らす努力をしようと思いました。

迷った時はLINEを使う「鎌倉ごみ調べ」が便利です。ぜひ利用してみてください!

いかがでしたか?「容器包装プラスチック」にこんなにも様々なものが混入してることや、色々な製品に生まれ変わるのは意外な事実だったのではないでしょうか。一人ひとりが正しく分別してごみを減らしていきたいですね。
「そらうみまちきれい」では、今後も鎌倉の環境の様々な取り組みについてお伝えしていきたいと思います。