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ダイビングの世界から飛び込んだ鎌倉漁協の若手漁師~鎌倉漁業協同組合 菊地剛さん~

褐色に灼けた肌、そして厚い胸板と太い腕をもった男が笑みを浮かべながら言います。

「海が好きでなんです昔から。今でも漁に出る時は仕事に行くというよりも、海へ遊びに行くという感覚ですね」

海を愛してやまない男がいます。菊地剛きくち ごうさん。

鎌倉漁業協同組合に所属する若手漁師の菊地剛さん


逗子の海辺で生まれ育った菊地さん。実は、約13年前までは鎌倉のダイビングのインストラクターでした。その当時、ダイビングのポイントまで移動するのに漁船へ乗せてもらうことが多かったそうです。

「ダイビングの仕事をするなか漁師さんと顔を合わせる機会もあり、自然と漁師という仕事に興味が湧いてきたんです」。

ダイビングのインストラクターから鎌倉の漁師の道へ

漁師へ転身したのは30歳を過ぎた頃。病に倒れてインストラクターをやめ、転職先を探し始めた時にまっさきに頭に浮かんだのが漁師でした。

漁師の道へ進んだ時の気持ちを語る菊地さん

「船に乗って毎日海に出られたら最高!……って」。
迷うことなく鎌倉の網元へ就職し、今はサザエや鎌倉エビ、カワハギ、ヒラメなどを追いかけています。

エビの味噌汁、たくましい漁師がつくる料理は豪快!

菊地さんは、妻と息子2人の4人暮らし。売り物にならなかった魚介は、家族で味わうこともあります。鎌倉エビなら包丁で縦割りし、豪快に味噌汁へ。ネギを振りかければ海の男の料理が完成です。

エビの味噌汁(イメージ)

菊地さん自身が、自宅でこの「エビの味噌汁」を作ることもあるそうです。「子どもにまた食べたいと言われたら、頑張るしかないですね」
お子さんもとても気に入っている一品のようです。

船を台車に載せて船が浮かぶ水深の瀬まで台車を押して運ぶ様子

坂ノ下には漁港がないため、日々重い船を押して漁に出ているという菊地さん。鎌倉の漁師さんは、主に1人で船を出すことがほとんど。そのため、波打ち際が少し荒れているだけで出漁できない日もあるそうです。これは、漁業で生計を立てる菊地さんにとって死活問題。同じ海のコンディションでも近隣の漁港からは漁に出ているケースも多いため、「坂ノ下では出漁日数が少ない」ともどかしく感じるそうです。 楽しいから海に出る――。そんな菊地さんが、思う存分出漁できる日が来るといいですね。


魚やエビ、貝など、私たちの食事の中で欠かせない存在です。
その新鮮でおいしい魚たちを皆さんの食卓に届け続け、鎌倉の海を盛り上げていくには、漁師さんの存在と漁業を続けられる環境を整備することが必要不可欠です。
市では、鎌倉の漁業を絶やさず継続していくことができるよう、安全に漁業を続けられる環境を整える計画「ミヅキカマクラプロジェクト」を進め、これからも海のあるまち鎌倉のさらなる発展に努めてまいります。