デジタルから見た世界のまちづくり/バルセロナに行く~世界に広まった市民参加のためのオンラインプラットフォーム「decidim」が意味する「決める」とは
こんにちは。政策創造課スマートシティ担当の松村です。昨年度からnote記事のライティングを始め、今年で2年目になります。
note記事を作る際は、いつも市役所の広報戦略ディレクターを務める林さんに相談して、どういった内容にするか打合せをしているんです。今回の記事を作成していく際の打合せで、「THINKを意識して記事を作るといいよ」と教えてもらいました。なるほど!と思いましたので、ちょっと紹介します。
記事を作る際には、この5つを頭に入れながら作成することが大切だということです。特に「Kind」、読み手に対して「思いやり」をもって情報を発信することはとても大切です。
これまで記事を作る際に意識していても、少しづつ市役所の目線になってしまっていることを反省しました。林さんにはよく、「主語が市役所になっている」と指摘されます。「Kind」な記事を作る。今後も意識していきます。
世界に広まった市民参加のためのオンラインプラットフォームって?
今回の記事のタイトルにある「世界に広まった市民参加のためのオンラインプラットフォーム」ですが、分かりやすく言うと、オンラインを活用して市民が新たに市役所の取組に参画することができる仕組みです。
このオンラインプラットフォーム、鎌倉市でも昨年度から導入を開始していることは前回の記事でもお伝えしました。
初めて聞いた!という方は、「スマホやタブレットなどから、まちに関する自分の意見やアイデアを投稿することが可能なオンラインの仕組み」と思っていただくとイメージしやすいかと思います。特に、時間や場所の制約なく意見を自由に発信できることが特徴です。
でも、日本国内はもちろん、鎌倉でもまだ認知されていないのが現状。そこで、この新しいオンラインの仕組みが世界中に広まっていく先駆けとなったスペインのバルセロナの事例について、今回の記事ではお伝えしていきたいと思います。
バルセロナの「decidim」とは
バルセロナと聞くと、サッカーのクラブチームを想像される方も多いのではないでしょうか?
そんなサッカーのイメージが強いバルセロナですが、実は欧州でも随一の都市機能を持つ都市。半径15㎞以内に市街地やビジネス街をはじめ、港、空港といった施設までもが全てが収まっており、16年連続で「ビジネスマンにとって欧州で最も生活環境の良い都市」に選ばれています。
鎌倉市の海岸線の長さが約7㎞なので、おおよそ2倍の距離の中にいかに都市機能がコンパクトにまとまっているかが分かります。
そんなバルセロナで、2016年に誕生したのが「decidim」と呼ばれるオンラインプラットフォーム。現在、この「decidim」は、世界の30の国、150組織ほど(decidimホームページ参照)で使用されており、最も知られているオンラインプラットフォームになります。
それでは、この「decidim」について、ご紹介していきます。
decidimに込められた「我々で決める!」という想い
まず、この「decidim」という名前が面白いんです。この名前は、「我々で決める」を意味するカタルーニャ語にちなんで名づけられています。
皆さんは、自分が住んでいるまちのことについて、自分たちで決めようと思ったことはありますか?まちのことは、市役所や議会が議論を重ねて決めてくれる、といった感覚を持たれている方が多いのではないでしょうか。
でも、「もっとこうだったらいいのに!」と思うことはありますよね?そんな「もっとこうだったらいいのに!」というまちのことについて、自分たちで決めるといったバルセロナ市民の想いが表出したのが、このdecidim。
実際にdecidimには、約15万人の方が参加しており、34万件にのぼるコメントが投稿されています。(一般社団法人コード・フォー・ジャパン資料参照)バルセロナの人口が約160万人なので、おおよそ10人に1人が参加していることになります。
我々で決める!何を?
具体的にどのような意見がオンラインプラットフォームに投稿されているかというと、都市計画や、気候変動への対策など都市で暮らす人々の日常生活に直結することがテーマとして上がっています。
簡単に分けると次のようなSTEPで政策に繋げているようです。
①提案を行う
②市役所の政策や予算について議論する
③政策に結びつけ実行していく
バルセロナでは、市民は日々の生活において感じる「もっとこうだったらいいのに!」を提案して議論すること、市役所は市民と議論を重ねながら政策に結びつけ実行していくこと、というお互いの役割の認識を持っているように見受けられます。
だからこそ市民が「まちづくりに参加しよう」という気持ちになってくるんでしょうね。さすが、ビジネスマンにとって欧州で最も生活環境の良い都市に16年連続で選ばれている都市、まちをより良くしていくために、自ら動いていくといった「自主性」が凄い。
鎌倉でも目指す「我々で決める」
ところで、鎌倉市で昨年度に導入したオンラインプラットフォームはどうなのでしょう?
昨年度から、オンラインプラットフォームを活用しながら、地域の課題を明らかにし、解決に向けた取組を西鎌倉で進めていることはこちらの記事で紹介しました。
現在は、西鎌倉地域で出かけたくなるための皆さんが感じる「あったらいいな!」についてオンラインプラットフォームで意見を募集しています。
また、9月24日(日)には、オンラインに投稿された「あったらいいな!」をもとに、今後西鎌倉地域で進めていくプロジェクトを具体的に考えていくワークショップも開催します。
鎌倉でも、市民の皆さんが感じる「あったらいいな」をプロジェクトとして形にしていくため、日々、試行錯誤を重ねながら、鎌倉にあった「我々で決める仕組み」について検討を進めています。この記事を読んでいただき、少しでも取組に興味を持たれた方は是非チェックしてみてください。
次回の記事では、フィンランドの事例についてご紹介していきます。
世界幸福度ランキングが6年連続1位である国がどのようにオンラインプラットフォームを運用しているのか?ランキング1位と何か関係があるのか?
是非ご覧ください。