鎌倉フリー環境手形について聞いてみた!
前回は「鎌倉フリー環境手形」を使ってお得に鎌倉散策できた様子をお伝えしました。大人900円(※子どもは450円)で購入した手形で、バスや電車の交通費がお得になり、寺社への拝観料やミュージアムの入館料、お食事処も割引に。さらには、訪れた場所で記念品がもらえたりと、鎌倉観光を存分に楽しむことができました。
そんな鎌倉フリー環境手形にについてもっと知りたくなったので、今回は手形を管轄する鎌倉市の都市計画課交通政策担当の大森さんにお話をうかがってきました。
(ライター)そもそも、鎌倉フリー環境手形はどのような経緯で始まったのでしょうか?
(大森さん)観光客でにぎわう鎌倉地域は、市民の方が使用する車に加えて、観光目的で流入する車によって交通渋滞が日常的に発生していました。地域に住む方に大きな影響を及ぼす渋滞問題を解決するため、鎌倉市では1995(平成7)年に「鎌倉地域交通計画研究会」が立ち上がりました。
(ライター)28年も前から渋滞への取り組みがスタートしていたのですね。休日などは渋滞に悩まされた経験があります。
(大森さん)研究会の発足により、問題解決に向けた提言が出されました。その中の1つとして「出発地から公共交通機関を利用してもらうため、鎌倉における公共交通機関の利便性向上と円滑な移動を確保」するため、社会実験として「公共交通乗り継ぎシステム」が始まりました。手形の前身にあたるものです。社会実験での利用率も良かったことから、2001(平成13)年10月、渋滞解消をめざして「七里ガ浜パーク&レールライド」と「鎌倉フリー環境手形」の本格実施が始まったのです。
(ライター)なるほど。特に混雑する鎌倉駅周辺を避けて、まずは車を鎌倉地域外縁部に停めてもらい、そこから電車やバスで観光スポットを巡ってもらおうという狙いだったのですね。
(大森さん)当初からサービスや特典が受けられる協賛店制度を導入し、およそ40のスポットが協力してくれたおかげで利用を後押しすることができました。
(ライター)鎌倉フリー環境手形は、どのくらいの方が利用しているのですか?
(大森さん)手形はもともと、江ノ電が使えるA券「頼朝きっぷ」とJRに乗車できるB券「義経きっぷ」の2種類があり、2014(平成26)年から江ノ電&5つのバス路線(ともに指定区間に限る)が1日乗り放題の現行のものに統一されました。それ以降で最も多く利用されたのが、2017(平成28)年度の年間約2万6000件でした。その後、新型コロナウイルスの蔓延によって利用は一時落ち込みましたが、2021(令和3)年からは利用される方が徐々に増えてきています。
(ライター)鎌倉の街を見ると、観光客が戻ってきている印象です。手形が使える協賛店も増えているのですか?
(大森さん)はい、おかげさまで現在は70カ所にまで増えました。最近で言えば、由比ガ浜にある飲食店「枡枡」さんや、雪ノ下の「鎌倉アンティーク博物館」さんが新たに協賛店へ加わってくれました。協賛店以外でも、電車とバスの交通事業者は市の施策に賛同し、協働してこの取組を進めていただいているので感謝したいです。
(ライター)手形を実際に使ってみて、利用者にはとてもメリットのあるものだと感じました。
(大森さん)寺社仏閣などを巡る観光客だけでなく、地元住民にとってもメリットはありますよ。市内の移動で車ではなく公共交通機関を使っていただき、協賛店でお特に食事を楽しむなど。みなさんの車での移動が減れば、渋滞は抑制され、住む人、働く人、さらにはバスで観光する人の移動がスムーズになります。
(ライター)観光客にとっては、渋滞が減ることでもう1カ所多く回れるかもしれませんね。
(大森さん)市民の方にも、是非使っていただけるとうれしいです。交通事業者はコロナ禍で打撃を受けました。みなさんが地元のバスや電車を積極的に使うことにより、地域の足を維持することにつながります。観光に来る方も「鎌倉を支える」という意味で公共交通機関を積極的に使ってみてください。
鎌倉フリー環境手形は、観光促進のためというより、交通渋滞解消、ゆとりある観光や公共交通機関の定時性を確保するという観点から、多くの人にメリットのあるものだとわかりました。
次回は、手形の協賛者さんがどのような思いで参加されているのかをインタビュー予定です。
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