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鎌倉フリー環境手形はお得なだけじゃなかった!

バスと電車の指定区間が1日乗り放題、さらに協賛する寺社や観光 スポット、飲食店などで割引や特典が受けられるとってもお得な「鎌倉フリー環境手形」。
これまでのレポートでは、環境手形を実際に使って周遊したり、制度導入の経緯について鎌倉市の担当者にうかがったりしました。

「鎌倉フリー環境手形」は鎌倉市の取り組みで、観光目的で 流入する車により市内で交通渋滞が発生し、市民の生活にまで影響 が及んでいるのを何とかできないかということで始まった制度ということでした。また、そういったことから交通事業者である京浜急行バス㈱と江ノ島電鉄㈱が鎌倉市と協働で事業を進めていくことになったというお話でした。
そこで、今回は事業に協力する公共交通機関の担当者に話を聞いてみることにしました!

今回は電車とバスで事業に関わる江ノ島電鉄㈱の福原健二さんに取り組み への思いをうかがいます。

江ノ島電鉄株式会社の福原健二さん

(ライター)環境手形の事業にいつから協力しているのですか?
(福原さん)鎌倉市が渋滞をテーマにした「鎌倉市地域交通計画研究会」を立ち上げたのが1995(平成7)年。その3年後の1998(平成10) 年と翌年に実証実験を行った時から、弊社が携わらせていただいています。実証実験では、観光目的の方々が公共交通に乗り換えることで、この鎌倉に住まわれている方と観光目的で鎌倉を訪れる方の双方が、円滑な移動を実現するのにご協力ができれば、という思いからのスタートでした。実証実験の結果、社内では効果が見込めそ うだという意見が多かったです。そして2001(平成13)年10月から、 環境手形の本格的な販売がスタートしました。

(ライター)協力しようと思った1番の理由は?
(福原さん)バスを運行する上で、渋滞すればするほど「定時性」が 脅かされます。市民の足でもあるバスが遅れると、生活リズムが狂います。観光客の方にとっても計画通りにまわりきれず、鎌倉での観光満足度が下がってしまうかもしれません。だからこそ、車で観光に来るのではなく、環境手形を使ってなるべくバスや電車で移動してもらう。その結果、市内の通行車両が減り、 街全体の渋滞を抑制することにつながると考えました。

「『定時性』を守ることはとても大切です。」

(ライター)最近のバスや電車の利用状況はいかがですか?
(福原さん)インバウンドの方はコロナ前よりも増えた印象です。日本人もかなり戻ってきた感じで、弊社の鉄道輸送人員で見ると、コロナ前の2019年に迫る水準です。今年度は2019年を上回るのではないかという勢いです。

(ライター)環境手形を買うのはどんな人が多いですか?
(福原さん)ほぼ日本人観光客です。年代は40代以上の方が多く、寺社仏閣など鎌倉市内に特化した旅を計画されています。若い方々は、 鎌倉に加え、環境手形のエリア外の江の島にも足を伸ばそうとする人が多いからか購入は少なめです。一方で、修学旅行で来た学校が当日朝にまとめて購入し、グループごとに公共交通機関で移動し観光するケースもあります。

(ライター)江ノ島電鉄㈱は、環境手形以外にも鎌倉市と協働で進めている事業はありますか?
(福原さん)市外から訪れた人が由比ガ浜に車を置き、電車に乗って鎌倉駅方面へ向かう「パーク&ライド」があります。ほかにも、ゴー ルデンウィーク中には沿線住民の優先入場の社会実験を鎌倉駅で実施しています。

「『パーク&ライド』も調べてみてください。」と福原さん

(ライター)質問に答えていただきありがとうございます。最後に、鎌倉の交通事業者として「今後こうなったらいいな」と思うことはあ りますか?

(福原さん)26年前に試行した時と同じく、道路の渋滞解消です。大人900円の環境手形ははっきり言ってお得。区間に限りはありますが、バスと電車が1日乗り降り自由、訪れた先の寺社や飲食店では代金が割引かれたり、非売品のグッズがもらえたりとうれしい特典付きです。もっと環境手形を活用してもらえると、私たち交通事業者にとっては定時性を保つことができます。そして、市民の方々の時間が滞りなく流れることを願っています。

さて、次回は「パーク&ライド」についてレポート予定です。お楽しみに!




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